What is Shinshu?

真宗大谷派の思想を批判するブログ。批判とは、否定ではなく「なぜそのような考え方をするのか」「なぜそれが正しいのか間違っているのか」を論じること。

2017-01-01から1年間の記事一覧

「縁起」とは単に反実体的なのか?:大江憲成(2018年版『真宗の生活』)

「縁起」の言語はpratiya-samutpadaプラティートヤ・サムウトパーダで、 pratiyaは「〜に縁って、〜に依存して」、samutpadaは「共に生起していること」です。つまり縁起とは、物事がさまざまな事柄、はたらきを「縁」として共に関係しあいながら「起」こっ…

蓮如に対する誤読、仏の存在論:平野修「留守番か骨董品か」(2018年版『真宗の生活』)

蓮如上人は「聖教は読みやぶれ」「本尊は掛けやぶれ」ということばを残しているらしい。これは大谷派では自分がお参りするときにだけ名号を掛け、他の時には仕舞っておくと解釈されているようだ。 そこで蓮如上人は、ようのないときには、つまりお参りする本…

ブログへのコメントをいただきました その②

当ブログに以下のコメントが寄せられたので、返信いたします。 はじめまして。 以前、たまたまこのサイトを見つけまして、それ以降、定期的に拝見しております。小生は真宗大谷派の僧侶です。 別の方のコメントに対して、お答えがあったものですから、以前か…

楠信生という教学研究所の所長について:その②

www.chugainippoh.co.jp 北海道教区の若手僧侶の育成機関・北海道教学研究所長や、教学研究所の教化伝道研修第2期研修長などを経て8月に就任。「教学研究所は大学の研究所とは違う。常にご門徒の存在を感じながら研究を発展させてほしい」と願う。 「教学研…

岸見一郎を持ち上げて何か意味はあるのだろうか?:「親鸞仏教センター通信」63号

「現代と親鸞の研究会」の欄に、哲学者・岸見一郎の話が載っていた。岸見一郎は、ギリシア哲学の専門ではあるが、最近ではアドラー心理学を一般に広めた学者として有名になった人物である。この学者を起用した研究会の様子が「親鸞仏教センター通信」に掲載…

ブログへのコメントをいただきました

当ブログに初めてコメントが届きました。以下の通りです。 はじめまして。 たまたま通りがかった者です。 ブログを拝見させて頂きました。 批判的に物事を見ていくということは大変大切なことだと思いますが、世界中の人が自由に見ることができるインターネ…

中島岳志著『親鸞と日本主義』には「親鸞」が不在である。

今回は朝日新聞に面白い書評があったので、それを紹介したい。10月1日の書評の欄に中島岳志著『親鸞と日本主義』についての書評があった。この中島岳志は大谷派で盛んに用いられており、宗派からの配布物には毎月のように彼の名前が載っている。しかし私は、…

「問い」を語り、硬直する:名和達宣『真宗』10月号、教研たより

私はもはや「問う」ということを大事にするという風潮に飽き飽きしている。何百回、「問いが大事」という話を聞かされたのだろう。「聞法が大事」と法を聞きにきている人に対して乱発する無意味な法話と同じくらい、質量が感じられない。 「問い」「問い」「…

ものすごく冷徹な教え:平原晃宗、東本願寺 真宗会館『サンガ』vol. 149. :親鸞さんの仏教

『今日のことば』や『真宗の生活』に少し飽きてきたので、今回は真宗会館が発行している『サンガ』の記事を問題にしていこうと思う。 この雑誌自体、真宗とはなんの関係もない流行りの芸能人や学者が記事を載せているため、たんなる金の無駄遣いにしか思えな…

法語カレンダー随想集『今日のことば』2018:伊東恵深

今回は2018年の『今日のことば』の九月である。担当者は、伊東恵深(同朋大学准教授、三重教区西弘寺住職)。 まことの信心の人をば諸仏とひとしと申すなり 「御消息集」『真宗聖典』588頁 これは、親鸞が弟子からの質問に答えるために書いた文章である。阿…

会社勤めは「あさましき罪業」なの?:廣田万里子(2018年版法語カレンダー随想集『今日のことば』)

今回は五月の法語。 かの如来の本願力を観ずるに 凡愚遇うて空しく過ぐるものなし 「入出二門偈頌文」『真宗聖典』461頁 この法語についてコメントしているのは、廣田万里子(名古屋教区善福寺)という人だった。 この方は、父親が亡くなった体験を語り、そ…

虚しいのは誰だ:足利栄子 法語カレンダー随想集『今日のことば』2018

今回は『今日のことば』について批評したい。二月の法語は 信心のさだまるとき 往生またさだまるなり 「末燈鈔」『真宗聖典』600頁 このことばに関しては、信心が定まるとき、臨終を待たずとも浄土に往生することが決まっているということを表していると言え…

真城義麿『成人したあなたへ』:2018年度教化冊子『真宗の生活』

真城は、この文章の中で、人間が「人の間」にあり、関係性を大切にしなければならないと述べている。しかし、それは自分を優先させてしまう煩悩をもつ人間にはなかなか困難なことであり、他者との共存はなかなか容易ではないことを記している。 確かに、現代…